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救急蘇生・災害医療学研究室

《救急医学》

救急医学とは救急医療に対応するための医学全般を指します。救急で病院に来院するすべての「救急疾患」の診療、研究、教育を担う学問です。

生命の危機にさらされた傷病者の救命には超急性期を担うプレホスピタケア(病院前救護)が特に重要視されるようになってきました。

プレホスピタケア(病院前救護)の学術研究と教育の学問体系の必要性が高まりつつある中で、2014年に1期生83名を迎えて日本体育大学救急医療学科はスタートしました。同時 に救急医療学科を牽引する当研究室も発足することとなりました。

《理念》

今や世界は政治・経済・文化、すなわちあらゆる人、物、お金、企業、大学、学術活動、芸術活動などが繋がり、著しくグローバル化が進んでいます。

たった一つの国内問題が国際問題に発展するようになりました。それらは自国のセイフティーネットにまで多大に影響を及ぼして、社会不安を招くことさえあります。中国からの新型コロナ感染症はまさにその典型といえるでしょう。

当研究室の理念は、救急医学の領域の中で根幹を成す「救急医療」「蘇生医療」「災害医療」の3分野を広く世界レベルで捕らえて、

①救急医療体制と救急搬送、救急診療、市民の救急蘇生法の啓発、毎年発生する災害医療問題などに多施設との共同研究も視野に入れた学術研究を行うこと。

②質の高い実学教育を学生のみならず助手、指導教員にも実施し、プレホスピタルケアで一人でも多くを救命し、その周囲の人々を救うことが社会貢献に繋がるという指導をしています。

《学生教育指導》

学生教育では臨床経験が豊富で長年日本の救急医療や病院前救護を支えてきた指導的立場の教員から、医療人に求められる高い倫理観と崇高な精神について、及び傷病者と家族への共感的・支持的態度について、シミュレーション実習を中心に具体的に実践形式で熱のこもった教育しています。

また当学科は国内有数の教育施設を有し、医科及び歯科大学で解剖実習を実施しています。日本の救急医療を担ってきた第一線の臨床指定病院と地域医療を担ってきた中核病院で実習を実施し、全国多数の消防機関のご協力のもとで実際に救急車同乗実習も行っています。

《EDMS》

救急専門医、指導救急救命士らによって日本体育大学緊急・災害時救護医療支援派遣チーム(Nittai EDMS;Emergency & Disaster Medical Service)を構築しました。

従来の救急車の概念にとらわれず最先端の車内装備を設置した緊急車両に、日本で初めてワンアクションで動く自動ストレッチャーを導入して、さまざまなスポーツ・マスギャザリング・イベントで医療支援活動を行っています。

また女性だけによる日本体育大学緊急車両を活用した救急現場活動の訓練および研究を行い、VRゴーグルを用いて傷病発生時の救護活動の現場を再現し、よりリアルなシミュレーション教育の開発も手がけています。

《HARBORVIEW MEDICL CENTER UW Medicine 》

米国シアトル市にあるワシントン大学(UW)医学部附属ハーバービューメディカルセンターと提携しMedic One paramedicコースとの交流を行っています。秋毎にシアトルからシニアパラメディックが来日して、学生はシミュレーション実習における世界有数の特別講義を受講しています。

さらに春と夏に渡米しハーバービューメディカルセンターで特別講義を受け、シアトルで実際の救急車同乗実習などの体験やMedical Drill(訓練)やカンファレンスへ参加しています。UWの学生やパラメディックらとも意見交換ができる非常に充実した海外救急医療研修です。

《日体大救急蘇生・災害医療学研究室》

日本体育大学救急蘇生・災害医療学研究室は一年を通して多彩なイベントを開催し、学内外を問わず、学術・文化的な交流も積極的に行っています。その成果は研究業績、学会などでの発表、さらには教員・学生教育に生かされています。

学生は少しずつ絶え間なく努力する習慣を身につけて、将来医療人としての救急救命士を目標とし、自らのエネルギーを、プレホスピタルケアを通じて社会に貢献して欲しいと願っています。

当学科は、学科の独自性を追及し救急救命士としての標準的な知識と技術の維持を目指すために今後求められる再教育の環境と生涯教育を整備して行きたいと思います。

一人でも多くの学生が当学科で共に学び成長し、また学術研究と教育に熱意を持った全国の救急救命士の方々にも門戸を開き研鑽し活気ある場になればとても幸いに思います。

救急蘇生・災害医療学研究室長 学科長
 小川理郎

公開日 : 2020-9-2